ビットコインの清算ヒートマップの見方を徹底解説|急騰・急落の仕組みを実データから分析

基礎から学ぶビットコインデータ分析03清算編。急騰・急落はなぜ加速する?清算データとヒートマップを解説

基礎から学ぶ ビットコインデータ分析|03 清算編
実データから、結果と次の動きを読み解く

執筆:AIリン&K / 監修:投資家K

ビットコインが急落すると、「ロングが大量に清算された」という話をよく見かけます。

では、ロングが清算されたら、もう売りは終わったのでしょうか。ヒートマップに明るい帯があれば、そこまで価格が動くのでしょうか。

ここは、分けて考えたいところです。実際に起きた清算と、これから清算が起きるかもしれない価格帯は、別のデータだからです。

今回は、その違いから整理します。前回までのOI・CVDも重ねて、急騰・急落の中身と、そのあとに確認したい動きを見ていきましょう。

この記事で分かること
  • ロング清算が売り、ショート清算が買い戻しにつながる仕組み
  • 清算ヒートマップの色・価格帯・時間の見方
  • 清算額・OI・CVDを組み合わせて、次の動きを考える手順
目次

ビットコインの清算とは?急騰・急落が加速する仕組み

清算は、ポジションを維持するための証拠金が足りなくなり、取引所の仕組みによって強制的に決済されることです。

この記事で扱うのは、主に先物・無期限先物の清算です。借り入れをせずにBTCを現物で持っているだけなら、値下がりを理由に同じ仕組みで強制決済されることはありません。

ロング清算:買っていたポジションを、売って閉じる

ロングは、価格が上がると利益になるポジションです。反対に価格が下がると含み損が増えます。

証拠金で支えられなくなると、ロングを閉じる売りが出ます。下落中にこうした売りが重なると、さらに価格が下がり、別のロングの清算につながることがあります。

ショート清算:売っていたポジションを、買い戻して閉じる

ショートは逆です。価格が上がるほど苦しくなり、強制決済では買い戻しが発生します。

その買い戻しが上昇に重なると、さらに上の価格でもショートが清算される。これが急騰を加速させることがあります。

ロング清算の売りとショート清算の買い戻しが、値動きを加速させる仕組み
清算の基本を整理した模式図。清算の連鎖が起きるか、どこまで動くかは、そのときの売買や板の厚さにも左右されます。

ただし、取引所によっては注文の取り消しや段階的な部分決済を先に行います。チャートの最終約定価格ではなく、評価用のマーク価格を基準に清算を判定する場合もあります。自分の清算価格を確認するときは、取引所画面の表示を使いましょう。参考:Bybit公式の清算ルール

清算データと清算ヒートマップは、何が違う?

データ分かること
清算実績観測された強制決済。いつ、ロング・ショートのどちらに、どれだけ清算が出たか。
清算ヒートマップ市場データやレバレッジの仮定から推定した、清算が集中し得る価格帯。
板のヒートマップ取引所の板に出ている指値注文の分布。清算ヒートマップとは別のもの。

清算実績は「何が起きたか」。清算ヒートマップは「どこで起こる可能性があるか」。まずは、この違いを押さえれば大丈夫です。

なお、CoinGlassには銘柄ごとの清算実績を色と面積で示す図もあります。同じ「Heatmap」という表示でも、価格帯ごとの推定清算を示すチャートとは用途が違います。

また、「1億ドルの清算」は、通常は清算されたポジションの規模を示します。トレーダーが失った証拠金の合計が、そのまま1億ドルという意味ではありません。

清算ヒートマップの見方:色だけで方向を決めない

CoinGlassの清算ヒートマップでは、横軸が時間、縦軸が価格です。市場データとレバレッジの仮定を使って計算した清算水準が、色の帯として表示されます。

清算ヒートマップの時間・価格・推定清算集中度を説明する模式図
読み方を示す模式図です。実際の市場データやCoinGlassの画面ではありません。

① 最初に、取引所・通貨ペア・表示期間をそろえる

BTCでも、BinanceのBTC/USDTを見るのか、複数取引所をまとめて見るのかで対象が違います。24時間と1週間でも、見える帯は変わります。

比較するときは、モデルや表示のしきい値も同じにします。設定を変えて帯が明るくなっただけなのに、「清算候補が急増した」と読まないためです。

② 明るい帯は「相対的に集中している場所」

CoinGlassでは、紫から黄色に近づくほど、推定清算の集中度が高い表示です。同じ画面の中で、どの帯が目立つかを見ます。

黄色い帯に書かれた規模が、そのまま将来の清算実績になるわけではありません。途中でポジションが閉じられたり、証拠金が追加されたりすれば、実際の結果は変わります。

③ 帯へ近づいたあと、何が起きたかを見る

現在価格より上の帯では、上昇時にショートの清算が重なる可能性。下の帯では、下落時にロングの清算が重なる可能性を考えます。

ただ、帯だけで上か下かを決めるのは早いです。価格が近づいたときに、実際の清算が増えたか。通過後も売買が続くか。OIやCVDがどう変わったか。そこまで確認して使います。

「帯に吸い寄せられる」と表現されることもありますが、到達の保証はありません。帯は、到達したときの反応を観察する場所と考えると、使い方が分かりやすくなります。CoinGlass:清算ヒートマップと公式の説明

実データ① ロング清算が約93%。でも「過去最大級」とは限らない

ここからは、実際のデータで見ていきましょう。

2026年11月3日13時20分頃、日本時間で確認したCoinGlassのBTC清算データです。BTCを対象に、同サービスが集計する取引所を合算した直近24時間の数値になります。

BTCの直近24時間の清算実績

ロング:約8,304万ドル
ショート:約646万ドル
合計:約8,951万ドル
ロングの割合:約92.8%

これなら、「この24時間では、ショートよりロングの強制決済が多かった」と読めます。

さらに、直近12時間のロング清算は約6,268万ドル。その前の12時間は、24時間の数値から直近12時間を引くと約2,037万ドルです。直近12時間は、前の12時間の約3.08倍に増えていました。

2026年11月3日観測のBTC清算実績。直近12時間のロング清算は前の12時間の約3.08倍
出典:CoinGlassのBTC清算ページを2026年11月3日13時20分頃に確認し、独自作図。前の12時間は24時間集計と12時間集計の差で算出。

一方で、同じページの「7日平均との比較」は0.68倍の表示でした。直近の12時間では増えていても、24時間全体を最近の平均と比べると、突出した規模とはいえません。

つまり、「どちらが清算されたか」「直前より増えたか」「過去と比べて大きいか」は、それぞれ別の問いです。金額だけを見るより、ここを分けると状況がつかみやすくなります。

出典:CoinGlass BTC Liquidations。7日平均比は同サイトの表示値で、こちらで日次履歴から再計算した値ではありません。数値は記事制作時点の記録です。

実データ② 清算が出ていても、OIが増えることはある

次に、近い時間帯の価格・OI・CVDを重ねてみます。

対象はBinanceのBTCUSDT。2026年11月2日13時から3日13時までの、確定済み1時間足を集計しました。

前の清算実績は複数取引所の合算で、観測時刻も約20分ずれています。ここではBinance単独の動きを別に確認します。全体の清算額とBinanceのOIを、同じ市場の内訳として差し引くことはできません。

指標24時間の結果
現物価格78,634.01 → 76,937.05 USDT
−2.16%
先物OI・BTC数量95,572.61 → 99,700.08 BTC
+4.32%
現物CVDの変化+213.56 BTC
先物CVDの変化−1,387.52 BTC
Binance BTCUSDTの価格・先物OI・現物CVD・先物CVD。価格が下がる一方、OIは増加
出典:Binance公開APIから独自集計。CVDは11月2日13時を0とした累積値。OIはドル換算額ではなくBTC数量です。

価格は下落。先物では積極的な売りが優勢。でも、OIは減らずに増えています。

ここで「清算が出ているのに、なぜ?」と思うかもしれません。

OIは、その間に新しく建ったポジションと、決済されたポジションを反映した残高です。清算や自主的な決済で減る動きがあっても、それ以上に新規の建玉が増えれば、最後のOIは増えます。

この組み合わせなら、ロングの決済だけで下落を説明するより、新しい売りのポジションが加わる動きも考えたくなります。ただし、契約には買い手と売り手がいるため、OIとCVDだけで「増えた分はすべて新規ショート」とは決められません。

現物CVDがプラスでも、価格が下がることがある

この24時間では、現物CVDは小幅プラスでした。それでも、価格は約2%下がっています。

積極的な現物買いが出ていても、上値の売りを超えられないことがあります。他の取引所や先物の動きも関わります。「買われたか」だけでなく、「買われて価格が上がったか」まで見るのが大事です。

図の後半では、現物CVDも下向きに変わっています。24時間の合計がプラスだからといって、その間ずっと買いが強かったわけではありません。

シリーズ②|売買の中身を詳しく見る現物・先物CVDの見方を徹底解説成行買い・成行売りの違いと、価格とのズレを実データで整理。

実データ③ 大量清算後の反発は、上昇継続の保証ではない

もう一つ、過去の大きな清算を振り返ります。ここで扱うのは、2025年10月10日、米国時間の急落です。前の2026年11月の事例とは別です。

Binance Researchは当時、暗号資産市場全体で約192億ドルの清算が発生したと報告しています。これはBTCだけの清算額ではありません。出典:2025年10月17日付の週次レポート

その後のBTC価格を、Binanceの現物データで追ってみました。

2025年10月の大量清算後のBTC価格。いったん反発したあと再び下落した実例
Binance BTCUSDT現物の1時間足から作図。日付は日本時間。線は終値、赤い点は10月11日の時間足内安値です。
時点・日本時間BTC価格
10月11日の安値102,000.00 USDT
10月13日の終値114,036.63 USDT
11日安値から+11.80%
10月17日の終値105,163.42 USDT
13日終値から−7.78%

いったんは大きく戻っています。でも、そのあとも売りが続き、数日後には再び下落しました。

この例から押さえたいのは、「強制的な売りが一巡すること」と「新しい買いが続くこと」は別だという点です。

清算が落ち着けば、短期的に値が戻る余地はあります。それでも、現物の売りや新規ショート、相場全体の売りが続けば、反発は長続きしません。

なお、この過去事例は価格と公表清算額を確認したものです。当時のCVDや清算の全履歴までそろえた検証ではないので、戻りのすべてをショートの買い戻しと断定することもできません。

清算・OI・CVDを組み合わせる、4つの確認パターン

実際に見るときは、次のように整理すると分かりやすくなります。これは売買サインの一覧ではなく、次に何を確認するかの目安です。

スマホでは表を横にスクロールできます。

観測した組み合わせ考えられること次に見るところ
価格↓・OI↓
ロング清算が増加
ロングの強制決済が下落に重なった可能性。清算が落ち着いたあとも、現物売りや安値更新が続くか。
価格↑・OI↓
ショート清算が増加
ショートの買い戻しが上昇に重なった可能性。買い戻し後も現物CVDが上向き、価格が高値を維持できるか。
価格↓・OI↑
先物CVD↓
積極的な売りと建玉増加。決済に加え、新規ポジションも確認したい。現物売りの継続、追加の清算、価格の戻り方。
清算は減った
でも価格の戻りが弱い
強制決済以外の売りが残っている可能性。現物CVD、戻り高値、下値で買いが受け止めているか。

特に見たいのは、清算が出た瞬間より、そのあとです。

ロング清算が減って、価格も安値を更新しなくなった。さらに現物CVDが持ち直してきた。こうして複数の変化が重なれば、反発を考える材料が増えます。

反対に、清算が減っても現物CVDが下がり続け、戻るたびに売られるなら、「清算が終わったから底」とは考えにくい。ここを分けて見ていきたいところです。

シリーズ①|建玉の増減を確認するビットコインのOIの見方を徹底解説価格とOIの4パターンから、残っているポジションの変化を整理。

CoinGlassとForeDexは、見る目的に合わせて使う

清算実績や推定清算の価格帯を見るときは、CoinGlassのBTC清算ページと清算ヒートマップを使えます。

普段使うForeDexでは、トップのチャート画面に取引所別の「Exchange Liquidation」があり、OIや注文サイズ別CVDも合わせて確認できます。

使い方としては、CoinGlassで清算の偏りと価格帯を確認し、ForeDexで普段見ているOI・CVDと照らし合わせる。それぞれの画面で何を確かめるかを決めると、情報が多くても迷いにくくなります。

比較するときは、BTC単独か全銘柄か、現物か先物か、どの取引所か、単位と期間は同じかを確認します。ForeDexの取引所別清算表を、そのままBTC単独の清算額と読み替えないことも大切です。

清算データは取引所が配信した情報を集計するため、配信範囲や更新の仕組みによって差が出ます。数字が違ったときは、まず対象と時刻をそろえてみましょう。

目的に合ったデータサイトを選ぶ暗号資産の分析ツールを比較清算・OIなどのデリバティブデータと、オンチェーンデータの使い分け。

CoinGlassを使ってみる

まとめ:清算が出たあと、売買が続くかを見る

清算データを見るときは、次の順番で確認してみてください。

  1. 実績か推定か。発生済みの清算と、ヒートマップの価格帯を分ける。
  2. どちら側に出たか。ロング・ショートの内訳を、同じ長さの過去区間と比べる。
  3. OIはどう変わったか。決済後に建玉が減ったのか、新しい建玉が増えているのかを見る。
  4. その後の価格とCVD。強制決済が落ち着いても、買いや売りが続いているかを見る。

「ここに清算がたまっているから、この価格へ行く」。そこまで言い切るよりも、その価格へ近づいたとき、何を確認するかを決めておく。こちらの方が、実際の分析につなげやすくなります。

OIでポジションの増減、CVDで積極的な売買、清算で強制決済の偏りを見る。三つをつなげると、同じ急落でも中身を分けて考えられるようになります。

次は資金調達率(Funding Rate)です。「ロングとショートのどちらが、ポジションを持ち続けるためにコストを払っているか」を加えて、相場の偏りをもう一段掘り下げていきます。

保有コストも合わせて確認するシリーズ④|ビットコインの資金調達率の見方ロング・ショートの支払いと、価格・OI・CVDの変化を実データでつなげる。

清算ヒートマップのよくある疑問

黄色い帯まで、必ず価格が動きますか?

必ず動くわけではありません。帯はモデルによる推定です。価格が近づいたときの清算実績・OI・CVDと合わせて、反応を確認するために使います。

大量のロング清算が出たら、底と考えていいですか?

清算額だけでは決められません。強制決済が一巡しても、別の売りが続くことがあります。清算後に安値更新が止まり、現物の買いが戻るかまで見たいところです。

清算が起きたのに、OIが増えるのはなぜですか?

同じ時間帯に新しいポジションも建つからです。さらに、清算データとOIで対象取引所や集計期間が違う場合もあります。今回の実例のように、残高と決済額を分けて考えます。

実データの対象・計算方法・参考資料

取得日:2026年11月3日。CoinGlassはBTC清算ページの13時20分頃の表示を記録。直近24時間・12時間の集計から、重ならない前半12時間と後半12時間を算出。ロング割合=ロング清算額÷(ロング+ショート清算額)。表示値は丸めています。

直近の価格・CVD・OIはBinance BTCUSDT現物およびUSDT無期限先物。11月2日13時〜3日13時、日本時間の確定済み1時間足24本と境界を含むOI25点を使用。CVD=Taker買い数量−Taker売り数量を累積。Taker売り数量=総出来高−Taker買い数量。図の開始を0とし、単位はBTCです。OIはsumOpenInterestのBTC数量を使用しています。

過去の価格はBinance BTCUSDT現物、2025年10月10日0時〜18日0時、日本時間の1時間足192本。日終値は日本時間23時台の足の終値。安値は足内の最安約定価格で、マーク価格や全取引所の共通安値ではありません。変化率の基準は表に明記しています。

図は独自作図です。清算ヒートマップは読み方を説明する模式図で、実際の推定水準や予測成績を示すものではありません。紹介した実例から、パターンの勝率を計算しているわけではありません。

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