ビットコインのCVDダイバージェンスの見方|売られても下がらない「吸収」を実データから分析

基礎から学ぶビットコインデータ分析・応用01 CVD編。売られているのになぜ下がらない?CVDダイバージェンスと吸収。

基礎から学ぶ ビットコインデータ分析|応用01 CVDダイバージェンスと吸収
実データから、結果と次の動きを読み解く

執筆:AIリン&K / 監修:投資家K

売りが出ているのに、ビットコインの価格がなかなか下がらない。反対に、買われているのに上がらない。

CVDを見ていると、こういう場面があります。「買いが多ければ上がる、売りが多ければ下がる」と思っていると、ここで分からなくなります。

見たいのは、積極的な売買に対して、価格がどこまで反応したかです。売買の勢いと価格が食い違うとき、その裏で指値が注文を受け止めている可能性があります。

今回は、この食い違いを表すCVDダイバージェンスと、注文の「吸収」を整理します。実際のBTCデータを使い、上昇が続いた場面、買われても下がった場面、反発が続かなかった場面を比べていきましょう。

この記事で分かること
  • CVDと価格が逆に動くとき、何を考えればよいか。
  • 売り・買いの吸収とは、どんな注文のやり取りなのか。
  • 食い違いを見つけたあと、次の値動きをどう確認するか。
CVDが初めての方へ基礎編②|現物・先物CVDの見方買い・売りの分類と、現物・先物の違いから確認できます。
目次

CVDダイバージェンスとは?価格と売買の勢いの食い違い

CVDは、積極的に買った数量から、積極的に売った数量を引き、その差を積み上げたものです。ここでいう積極的な注文とは、板に並んだ相手の注文を取って、すぐに約定させる側の注文です。

成行注文が分かりやすい例ですが、すぐに約定する価格で出した指値注文が、こちら側に入ることもあります。

ダイバージェンスは「食い違い」のこと。CVDと価格を並べて、売買の勢いと値動きが同じ方向を向いているかを確認します。

スマホでは表を横にスクロールできます。

見えている動き考えたいこと
価格は安値を更新
CVDは前の安値を割らない
前の安値時点と比べて、積極的な売りの累積が追いついていない。下落の勢いが変わった可能性を確認する。
価格は高値を更新
CVDは前の高値に届かない
前の高値時点と比べて、積極的な買いの累積が追いついていない。上昇を支える売買を確認する。
CVDは低下
価格は安値を維持・上昇
売りを受け止める買い指値などを候補に考える。ただし、先物や他市場の影響も確認する。
CVDは上昇
価格は高値を更新できない・下落
買いを受け止める売り指値などを候補に考える。買いの量だけで強さを決めない。

高値・安値を比較するときは、まず価格側の二つの山や谷を決め、同じ時刻のCVDを比べます。価格とCVDで都合のよい別々の時点を選ばないようにします。

後半の実例では、6時間ごとの価格変化とCVDの増減を比較します。高値・安値の2点を機械的に検出した売買サインではなく、区間内の売買と値動きのズレを読む練習です。

CVDの集計開始点・リセット設定は揃えて比較します。参考:Bookmap公式・CVDと設定

「売りの吸収」「買いの吸収」は何が起きている?

売りの吸収:今すぐ売る注文を、買い指値が受け止める

現物BTCで考えてみます。誰かが成行で売ると、その売りを受けるのは、板に並んでいる買い指値です。

その価格に十分な買い指値があり、売りが出るたびに買い注文が補充されていれば、売りの約定が続いても価格が下がりにくくなります。こうした状態を、売りが吸収されていると表現します。

つまり「売りが出ていない」のではなく、売りが出ているのに、それを受ける買いがあるという見方です。

買いの吸収:今すぐ買う注文を、売り指値が受け止める

逆も同じです。成行買いが入っても、上に並ぶ売り指値が十分にあれば、価格は伸びにくくなります。

CVDが上がっているから強い、と決めずに「これだけ買われたのに、高値を更新できないのか」と見る。ここが大事なポイントです。

現物BTCの売りを買い指値が吸収する場合と、買いを売り指値が吸収する場合の模式図
吸収の仕組みを示す模式図。下の実例は板履歴を含まないため、吸収の存在を直接確認したものではありません。

ただ、CVDと価格だけで、指値の補充や同じ参加者の継続売買までは見えません。板・約定の履歴を合わせて見ると、吸収という見方を確かめやすくなります。

このあと使う1時間データには板の履歴がないため、吸収は値動きを説明する候補として扱います。「大口が買い集めた」とまでは言い切りません。参考:Bookmap・DeltaとCVDで分かること、分からないこと

実データの読み方:観測した6時間と、その後を分ける

以下はBinanceのBTCUSDTです。価格と現物CVDは現物市場、先物CVDとOIはUSDT無期限先物を使っています。時刻はすべて日本時間です。

図の青い範囲が観測した6時間、薄い金色がその後の6時間。まず青い範囲だけで見方を考え、そのあとに何が起きたかを確認します。

CVDは各図の左端を0にしています。「その後6時間のCVD」は後半だけの増減で、グラフ右端の累積値とは違います。現物と先物は、それぞれ別の目盛りです。

過去の期間から説明に適した3例を選んでいます。A・Bは基礎編②の事例を、その後の6時間まで延ばしたものです。3例の結果から反転確率や勝率を計算したものではありません。

実例A|現物は売り優勢。それでも価格は上昇した

最初は2026年10月25日2時〜8時です。

観測した6時間

現物価格:80,219.30 → 80,605.60 USDT(+0.48%)
現物CVDの増減:−192.6 BTC
先物CVDの増減:+1,811.4 BTC
先物OI:−0.30%

10月25日のBTC価格と現物・先物CVD。現物売り優勢でも価格は上昇し、その後6時間も上昇
実例A。観測は10月25日2〜8時、追跡は8〜14時。日本時間、Binance公開APIから独自作図。

現物では積極的な売りが買いを上回ったのに、価格は上昇しました。売りを受け止める買い指値があった可能性を考えたい場面です。

ここで先物も見ると、CVDはプラスで、OIは減っています。先物の買い戻しとも整合する組み合わせです。

そのため、「現物の吸収だけで上がった」と一つに決めるのは早い。現物側の受け止めと、先物側の買いの両方を候補として見ます。清算履歴はこの集計に含めていないので、ショート清算が原因だったかまでは分かりません。

その後、8時〜14時はどうなった?

現物価格:80,605.60 → 80,923.19 USDT(+0.39%)
この6時間の現物CVD:+140.1 BTC
先物CVD:+1,396.1 BTC / OI:−1.82%

次の6時間でも価格は上昇し、現物の売買差は買い優勢へ変わりました。先物では買いとOI減少が続いています。

この例で持ち帰りたいのは、「現物CVDがマイナスだから弱い」と決めず、価格が崩れないこと、その後に現物買いが加わるかまで確認する、という順番です。

実例B|現物も先物も買われたのに、価格は伸びなかった

次は10月26日19時〜27日1時です。

観測した6時間

現物価格:80,538.53 → 80,427.69 USDT(−0.14%)
現物CVD:+953.3 BTC
先物CVD:+1,584.8 BTC
先物OI:+0.04%

10月26〜27日のBTC価格とCVD。現物と先物で買い優勢でも価格は下落
実例B。観測は10月26日19時〜27日1時、追跡は1〜7時。日本時間、Binance公開APIから独自作図。

現物も先物も、6時間合計では積極的な買いが優勢でした。それでも、価格は始点を下回っています。

途中では下落と戻りがあるため、「6時間ずっと価格が動かなかった」という意味ではありません。区間全体で見ると、買いの多さが価格の上昇につながらなかった、ということです。

この場合は、買いを受け止める売り指値などを疑い、戻った先で高値を更新できるかを確認します。

その後、27日1時〜7時はどうなった?

現物価格:80,427.69 → 80,105.24 USDT(−0.40%)
この6時間の現物CVD:+742.3 BTC
先物CVD:+423.2 BTC / OI:+1.63%

現物CVDはさらに増えましたが、価格は下落しました。CVDが上がることと、価格が上がることは別だと分かる例です。

OIも増えていますが、その増加分をそのまま「新規ロング」とは数えられません。誰がどの目的で建てたかは、CVDとOIだけでは確定できないからです。

実例C|売られても反発した。ただ、その反発は続かなかった

3つ目は10月30日9時〜15時。急落の途中から、反発へ移った6時間です。

観測した6時間

現物価格:77,991.89 → 78,554.01 USDT(+0.72%)
現物CVD:−661.3 BTC
先物CVD:−2,979.3 BTC
先物OI:+1.71%

10月30日のBTC価格とCVD。売り優勢でいったん反発したが、その後6時間は1.49%反落
実例C。観測は10月30日9〜15時、追跡は15〜21時。日本時間、Binance公開APIから独自作図。

現物・先物とも、合計では売り優勢。それでも15時の価格は9時より高くなりました。

ただし、図を見ると最初に価格とCVDが下がり、そのあと価格が戻っています。「売られても、6時間ずっと底堅かった」という意味ではありません。始点と終点の数字だけでなく、途中の順番も見る必要があります。

15時までの動きを見て、売りを受け止めた可能性は考えられます。でも、それだけで「底打ちしたから上昇が続く」とは決められません。

その後、15時〜21時はどうなった?

現物価格:78,554.01 → 77,382.01 USDT(−1.49%)
この6時間の現物CVD:−829.3 BTC
先物CVD:−5,562.9 BTC / OI:−1.00%

次の6時間は、現物・先物の両方で売り優勢となり、価格も反落しました。

実例Aと違うのは、次の区間で現物の買いが優勢にならず、価格の戻りも維持できなかったことです。一度の受け止めが、その後の売りまで支えられるとは限りません。

だから、食い違いを見つけたあとも、現物CVDの傾きと、価格が戻り高値・押し安値を維持できるかを追います。前の見方にこだわらず、反応が変わったら組み直す場面です。

3例の結果を比較する

スマホでは表を横にスクロールできます。現物CVDは各6時間の増減です。

事例最初の6時間その後の6時間見るポイント
A:10月25日価格+0.48%
現物CVD −192.6 BTC
価格+0.39%
現物CVD +140.1 BTC
価格上昇が続き、後半には現物買いも加わった。
B:10月26〜27日価格−0.14%
現物CVD +953.3 BTC
価格−0.40%
現物CVD +742.3 BTC
積極的に買われても、価格は下がった。
C:10月30日価格+0.72%
現物CVD −661.3 BTC
価格−1.49%
現物CVD −829.3 BTC
いったん反発しても、次の売りで戻りを失った。

この3例だけで、Aなら買い、Bなら売りというルールは作れません。確認したいのは、同じような食い違いでも、そのあとに入る売買と価格の反応で結果が変わることです。

実際の相場で使う、5つの確認手順

  1. 最初に、価格の場所を決める。
    前の安値・高値、レンジの上下など、どこで反応を見たいかを先に決めます。あとから都合のよい線を引き直さないこと。
  2. 同じ市場・同じ時間のCVDを重ねる。
    まずは現物価格に現物CVD。時間足と集計開始点を揃え、途中のリセットを確認します。
  3. 売買の勢いに、価格が反応しているかを見る。
    売りで安値を更新するのか、売られても止まるのか。買いで高値を更新できるのかを確認します。
  4. 先物CVD・OI・清算で、別の説明も確かめる。
    買い戻しによる上昇なのか、建玉を伴う動きなのか。資金調達率も重ね、保有コストの偏りを確認します。
  5. 次の値動きで見方を更新する。
    現物買いが加わるか、戻り高値を超えられるか。売りを受け止めたと思った価格帯を割るなら、その見方をいったん外します。

ForeDex・CoinGlassで確認するときのポイント

普段の確認には、ForeDexの現物CVDが入口になります。注文サイズ別を見る場合も、注文の大きさと、投資家本人の資産規模は分けて考えます。

CoinGlassのCVD画面と比べるときは、取引所・現物か先物か・数量か金額か・集計開始点を揃えます。設定が違えば、同じBTCでも線は一致しません。

今回の実例グラフは、Binanceの公開データから作ったものです。ForeDexやCoinGlassの画面を転載したものではありません。

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CVDダイバージェンスと吸収のよくある疑問

CVDがマイナスなら、売りの方が多いのですか?

決めた開始点から、積極的な売り数量が買い数量を上回ったという意味です。すべての約定には買い手と売り手がいるので、市場全体の売り手だけが増えたという意味ではありません。

また、CVDがまだ0より下でも、直近の傾きが上向いていれば、その直近区間では積極的な買いが優勢です。実例Aの後半が、その例になります。

吸収と、売りの勢いが弱まることは同じですか?

分けて考えます。吸収は、入ってくる売りを買い指値が受け止めること。売りの勢いが弱まる場合は、そもそも入ってくる売りが減っています。

どちらも価格が下がりにくくなることがあります。CVDの差だけでなく、売買それぞれの約定量や板の履歴を確認すると、この違いを考えやすくなります。

ダイバージェンスが出たら、すぐ反転しますか?

そうとは限りません。実例Cでは、売り優勢でも反発したあと、次の6時間で反落しました。食い違いが続いたり、いったんの反発で終わったりする場合もあります。

何分足で見るのが正解ですか?

一つには決まりません。この記事は仕組みを読みやすくするために1時間データを使っています。短い時間足で判断したいなら、同じ時間粒度の約定・価格を用意します。1時間の合計だけで、数秒の吸収を証明することはできません。

まとめ:売買の量より、その売買に価格がどう反応したか

CVDダイバージェンスを見つけたら、まず「これだけ売られて、どこまで下がったか」「これだけ買われて、どこまで上がったか」を考えます。

そこから吸収や買い戻しなどの候補を挙げ、OIや先物CVDを重ねる。最後に、その後の現物売買と価格で見方を確かめます。

食い違いを見つけることと、次の方向が決まることは別。この順番で見ていくと、数字一つに振り回されにくくなります。

次の応用編②ショートカバーと現物買いの見分け方反発が続いた例・失速した例を、OIと現物・先物CVDで比較します。

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実データの対象・計算方法・参考資料

データ取得:2026年11月3日。Binance BTCUSDTの2026年10月25日0時〜11月3日0時(日本時間)の1時間データを使用。基礎編②で保存した公開APIの原データを再利用し、今回の3事例とその後6時間を再計算しました。

現物・先物それぞれの積極的な売り数量=総出来高−Taker Buy Base Asset Volume。差分=積極的な買い数量−売り数量。CVDはその差分の累積です。単位はBTC、先物はUSDT無期限契約です。

各図は左端のCVDを0にして、後半もリセットせずに積み上げています。本文の「その後6時間」は後半だけの増減です。価格の観測区間は始値→終値、その後の変化率は観測区間の終値→次の6時間の終値で算出しました。価格グラフは各時間足の終値を時間足の終わりに配置し、左端のみ始値を使っています。

OIはBTC数量ベースのsumOpenInterestです。ドル評価額の変動は混ぜていません。観測・追跡の6時間を共通にしましたが、事例は説明目的で事後に選んでおり、全期間での成績検証ではありません。高値・安値の定型ダイバージェンスを自動検出した結果でもありません。

板の補充、注文の取消、参加者の身元、清算履歴は今回のデータに含めていません。吸収や買い戻しについては、確認した価格・売買・OIと整合する解釈として記載しています。単一取引所の観測を、市場全体の因果関係と同一視しないようにしています。

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