分析日時:2026年11月1日 22:00頃(日本時間)
分析時のBTC価格:約78,000ドル
10月30日、ビットコインは大型の月次オプション満期を迎えました。
さらに、10月29日にはBinanceで大規模なセキュリティ事件が発生し、BTC市場にも大きな影響が及びました。
こうしたイベントを経て、現在のオプション市場の構造はどう変化しているのでしょうか。
今回は、オプション市場のデータを使いながら、今後注目しておきたい価格帯を整理していきます。
初心者の方にも分かるように、難しい専門用語はできるだけ省いて解説していきます。
① ビットコインの未決済建玉(OI)を確認
まず、最初にご覧いただきたいのが、ビットコインオプションの未決済建玉(OI:Open Interest)です。
OIとは、まだ決済されていないオプションの建玉残高を表すものです。
掲載した画像には、青色と黄色の線が表示されています。
- 青色:Call(コール)オプション
- 黄色:Put(プット)オプション
厳密な説明は省きますが、まずはオプションを買う側の視点で、
Call=価格の上昇に備える取引
Put=価格の下落に備える取引
と覚えていただければと思います。
ただし、オプションには買い手と売り手が存在します。そのため、CallのOIが多ければ市場全体が強気、PutのOIが多ければ弱気、というわけではありません。
それでは、実際のOI分布を確認していきましょう。

② CallオプションのOIが集中する価格帯
まずは、青色のCallオプションです。
画像を見ると、主に$80,000〜$90,000にOIが集中しています。
OIが多い順に並べると、
- $90,000
- $80,000
- $85,000
- $82,000
となっています。
現在のBTC価格が$78,000付近であることを考えると、これらはいずれも上値側に位置する価格帯です。
特に$80,000は現在価格に近く、OIも多いことから、短期的に注目したい水準といえるでしょう。
また、$82,000、$85,000、$90,000にも多くの建玉が残っています。
ただし、OIが多いこと自体は、必ずしも上値抵抗が強いことを意味しません。
実際に価格が抑制されるのか、それとも突破時に値動きが加速するのかは、MM(マーケットメーカー)のポジションやヘッジ方向にも左右されます。
そのため、まずは市場参加者のポジションが集中している価格帯として覚えておきましょう。
③ PutオプションのOIが集中する価格帯
続いて、黄色のPutオプションを確認します。
こちらは、$70,000〜$76,000、そして$78,000付近にOIの集中が見られます。
OIが多い順に並べると、
- $74,000
- $72,000
- $75,000
- $70,000
- $76,000
となっています。
さらに、既に現在価格を上回っている$80,000にも、PutのOIが残っていることが分かります。
ここで注目したいのが、やはり$80,000です。
CallとPutの両方に一定のOIが存在しており、現在価格からも近い水準となっています。
つまり、$80,000は現在のオプション市場において、特に注目しておきたい価格の一つと考えられます。
また、より下値に目を向けると、$60,000にも非常に大きなPutのOIが確認できます。
こちらは現在価格から大きく離れているものの、今年一番注目された価格でもあり、市場参加者による下落ヘッジ等の需要が未だにあると推測されます。
さらに、上値の$120,000、下値の$40,000にも比較的大きなOIが存在しています。
こうした現在価格から離れた建玉には、テールリスクへの備えや、長期的な相場観に基づくポジションなどが含まれている可能性があります。
④ Put/Call Ratio(PCR)から市場心理を見る
続いて、Put/Call Ratio(PCR)を見ていきましょう。
PCRとは、PutとCallの比率を示す指標です。
一般的には、
- PCRが1を超える:PutがCallより多い
- PCRが1を下回る:CallがPutより多い
という関係になります。
なお、PCRには「OIを基準にしたPCR」と「出来高を基準にしたPCR」があり、両者は区別する必要があります。
今回の分析画面では、
OIベースのPCR:0.66
直近24時間の出来高ベースのPCR:1.31
となっています。
この数値をそのまま読むと、未決済建玉全体ではCallが優勢である一方、直近24時間の取引ではPutがCallを上回っていることになります。
つまり、既存の建玉構成と、足元で取引されているオプションの構成に違いが生じているわけです。
Binanceのセキュリティ事件を受け、下落への警戒やヘッジ需要が高まっている可能性が考えられます。
ただし、Putの取引が増えているからといって、必ずしもPutの買いが増えているとは限りません。
そのため、PCRだけで市場が弱気に転じたと判断するのではなく、OIの変化やボラティリティと併せて見ていきます。
※PCRの数値は分析画面の表示値です。集計対象となる取引所・満期・算出方式によって数値は異なります。
⑤ 特にOIが大きいオプション銘柄
次に、満期日と権利行使価格を組み合わせた、個別オプションのOIを確認してみましょう。

今回、特に大きな建玉として注目したいのが、
2026年12月25日満期
- $80,000 Call
- $60,000 Put
の2つです。
12月25日は、年末の四半期満期にも該当します。
この時期は年末に向けたポジションの調整や、満期を意識したヘッジの変化にも注目したいところです。
特に$80,000は、これまで確認してきたCallとPutのOI分布においても重要な水準となっています。
一方、$60,000は現在価格から離れているものの、大きなPutの建玉が存在している点が特徴です。
ただし、こうした建玉は満期まで維持されるとは限りません。
今後のOIの増減によって、市場構造そのものが変化する可能性があることにも注意が必要です。
⑥ BTC現物ETF「IBIT」のオプション市場
ここからは、ビットコイン現物ETFのオプション市場を確認していきましょう。
特に注目したいのが、BlackRockが提供するiShares Bitcoin Trust ETF(IBIT)です。
特にこちらは近年、徐々に存在感を増してきており、中でも『IBIT』の月次満期のオプションは、ビットコイン本体であるDeribitの規模を超えることも珍しくありません。
実際、今年はIBITのオプション満期前後で、価格が大きく動いた日もありました。
※勿論、このオプションカットが直接的な要因であるかは不明です。
米国市場のETFオプションには月次満期があり、通常は毎月第3金曜日が該当します。
次回の11月月次満期は、11月20日(金)です。
それでは、11月20日満期のOI分布を確認していきましょう。

特に注目したいのが、$40のPutオプションです。
この水準には大きなOIが集まっています。
上値では、$45や$48が大きく集まっています。
IBITの価格をBTC価格へ概算換算すると、次のようになります。
| IBIT | BTC換算価格 |
|---|---|
| $40 | 約$70,700 |
| $45 | 約$79,500 |
| $48 | 約$84,800 |
※2026年10月30日時点のIBITのBTC保有比率を固定した理論換算。実際の市場価格との間には誤差が生じます。
つまり、IBITの$40はBTCの$70,000付近、$45は$80,000付近、$48は$85,000付近に相当します。
特に下値である$40はほぼ集中していることから、IBITを手掛けるMM達からすると、11/20まで、ビットコインは$70000を割らせたくないという意図が見えます。
これは覚えておいて損はないでしょう。
上値はやはり、$80000,$85000が意識されているという形です。
※勿論、断定は出来ません。
⑦ GEXから見る現在のビットコイン相場
ここまでは、オプションの未決済建玉(OI)を中心に市場を見てきました。
しかし、OIが多いからといって、その価格が必ず支持線や抵抗線になるわけではありません。
そこで、次に確認したいのがGEX(Gamma Exposure:ガンマエクスポージャー)です。
GEXは、オプションのガンマを基に、BTCの価格変動に対してMMのデルタヘッジがどの程度変化し得るかを推計する指標です。




現在の重要価格帯
今回のGEX分析画面では、以下の価格帯が注目されています。
上値の重要価格:$82,000
直近の上値側で、オプションのヘッジ構造上、特に注目したい価格帯となっています。
ヘッジ需要の中心:$78,000〜$80,000
現在のBTC価格に近いこの範囲には、推定されるヘッジ需要が集中しています。
MMのガンマポジションが価格変動を抑制する方向に働けば、この範囲で値動きが落ち着いたり、価格が一定の水準にとどまりやすくなったりする可能性があります。
こうした現象は、オプション市場では「ピン留め効果」と呼ばれることがあります。
下値の重要価格:$77,000
直近の下値側で、オプションのヘッジ構造が意識される価格帯です。
次の下値の注目価格:$74,000
さらに下落した場合、次に注目したい水準です。
Gamma Flip:$77,200付近
ここで、もう一つ重要な指標があります。
それが、このGamma Flip(ガンマフリップ)です。簡単にいうと、これを上回っている際は、ボラティリティは抑制されやすくなっていいると推測されます。(テクニカル上のサポート・レジスタンスラインが効きやすい)

⑧ ボラティリティ(BVIV)の状況
最後に、ボラティリティを確認しておきましょう。
今回使用するのは、ビットコインオプション市場のインプライド・ボラティリティを示すBVIVです。
インプライド・ボラティリティ(IV)とは、オプション価格から逆算される、市場が織り込む将来の変動率です。
現在のBVIVは、おおむね40%台となっています。

直近1カ月程度の水準と比較すると高めですが、Binanceのセキュリティ事件発生後に見られた急激な上昇は、足元では落ち着いてきています。
また、今回の分析では、インプライド・ボラティリティが実現ボラティリティ(RV)を上回っています。
これは、オプション市場が織り込んでいる変動率に対して、比較対象期間の実際の値動きが小さかったことを意味します。
⑨ まとめ:今後注目したいBTCの価格帯
最後に、今回のオプション分析から注目したい価格を整理しておきましょう。
| BTC価格 | 注目ポイント |
|---|---|
| $90,000 | Call OIの集中 |
| $85,000 | Call OI・IBIT関連水準 |
| $82,000 | GEX上の上値注目価格 |
| $80,000 | Call・PutのOI集中、ヘッジ需要の中心付近 |
| $78,000 | 現在価格、ヘッジ需要の中心付近 |
| $77,200 | 推定Gamma Flip |
| $77,000 | GEX上の下値注目価格 |
| $74,000 | Put OI集中、下値注目価格 |
| $70,000付近 | IBIT $40に対応する価格帯 |
| $60,000 | 12月25日満期の大きなPut OI |
今回の分析で、特に注目したいのは$77,000〜$80,000の価格帯です。
現在のヘッジ需要の中心が$78,000〜$80,000付近にあり、そのすぐ下に$77,200のGamma Flipが推計されています。
この構造が維持される場合、$77,200を上回っている間は、MMのヘッジが値動きを抑制する方向に働く可能性があります。
反対に、$77,200を明確に下回った場合には、ヘッジ構造が変化し、値動きが大きくなる可能性を警戒したいところです。
上値では$80,000、さらに$82,000が注目されます。
下値では$77,000、その次は$74,000を確認していきたいと考えています。
また、11月20日のIBIT月次満期、12月25日のBTC四半期満期に向けて、OIの分布やGEXの構造がどう変わっていくのかも重要です。
オプション市場のデータは、価格の未来を確定させるものではありません。
しかし、市場参加者がどの価格帯にポジションを持ち、MMのヘッジがどのように作用し得るのかを考えるための有力な材料になります。
今後もOI、GEX、Gamma Flip、BVIVなどの変化を継続して確認していきます。
また、私の運営する日本語オプションコミュニティでは毎日簡単なGEXを用いた分析を行っております。
実際にオプション取引をする方法も解説していますので、是非、遊びに来てください。
日本語オプションコミュニティ
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※本記事は市場データに基づく分析・解説であり、特定の売買を推奨するものではありません。
※OI・PCR・GEX・Gamma Flip・BVIVの一部数値は、2026年11月1日22時頃の分析チャートに基づく記載です。モデル・集計対象・取得時刻により数値は異なります。
参考文献
Deribit
Laevitas
https://app.laevitas.ch/assets/home
Coinglass
https://www.coinglass.com/ja/options
Optioncharts
https://optioncharts.io/options/IBIT/open-interest
GammaFlip


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