週前半の反発は続かず、ビットコインは再び8万ドル台前半へ。今週後半は戻り高値を切り下げ、現物の買い戻しだけでは価格を押し上げきれない展開になりました。
背景には、中東情勢と原油高によるインフレへの警戒、週後半の米国現物ETFの資金流出、現物取引の売り優勢への変化があります。ただし、取引所残高の減少や一部注文帯の買い戻しも確認でき、すべてのデータが一方向に悪化しているわけではありません。
集計:2026年10月19日〜24日。価格・建玉は24日17:02、CVDは同日17:13〜17:15確認(日本時間)。BTCは土日も取引されるため、これは土曜時点の週間振り返りです。週足の確定結果ではありません。
今週の要点
- 21日の高値から反落し、後半は日足の高値切り下げ。まず8万ドル近辺を維持できるか。
- ETFは週前半に流入、後半に流出。週全体を「資金流出の一週間」とは捉えない。
- ForeDexのCVDは急落後に改善する一方、Largeは弱い。含み損ストレスも再上昇している。
- 来週のFOMC・GDP・PCEを前に、反発の持続とレバレッジの積み上がりを確認したい。
価格:反発失速、週後半は戻り高値を切り下げ

HyperliquidのBTCでは、21日に84,850ドルまで上昇した後、22日の高値が84,335ドル、23日は82,088ドルへ低下しました。24日17:02のマーク価格は80,753ドル。週前半は上昇しましたが、週後半の高値切り下げが短期の弱さを示しています。
下値は23日の安値80,500ドルと、心理的な節目の80,000ドルを確認します。反発する場合は82,088ドル付近を回復して維持できるか、その先は84,335〜84,850ドルが目安です。取引所や現物・先物で価格差があるため、実際の売買では利用するチャートと照合してください。
下落の背景:原油高とインフレ警戒、景気への不安
中東情勢と原油高が、金融緩和への期待を揺らす
23日のロイター報道では、フーシ派によるサウジアラビアへの攻撃などを背景に原油供給への警戒が強まり、ブレント原油は116.72ドルで引け、週間では約6%上昇しました。原油高が長引けば、輸送・生産コストを通じて物価の下押しを妨げます。これは金融緩和を期待する市場にとって重荷です。出典:Reuters
前週14日に公表された米9月CPIも、前年比3.7%と8月の3.4%を上回っていました。今週の新発表ではありませんが、インフレ再加速への警戒が残る背景です。出典:米労働統計局
一方、「金利が上がったから今週のBTCが下がった」と一括りにはできません。23日のロイター報道は、米国債利回りが週間で3週連続の低下へ向かう状況を伝えています。政策金利への警戒と、安全資産として国債が買われて市場金利が下がる動きは併存します。今回はインフレと景気への不安が重なったリスク回避として見る方が自然です。出典:Reuters・米国債市場
中国は「全面的なデフレ」より、回復力の弱さに注目
中国については、内需や不動産を巡る弱さが市場の不安材料です。ただし9月CPIは前年比0.9%上昇しており、消費者物価全体が下落しているわけではありません。20日には中国当局者も回復の基盤・勢いの弱さを指摘しました。中国経済の懸念は世界のリスク許容度に影響し得ますが、BTC下落の直接原因と断定する材料ではありません。出典:中国国家統計局/Reuters
米国現物ETF:週前半の流入から、後半の流出へ
| 日付(米国) | 純フロー |
|---|---|
| 10月19日 | +5億2,670万ドル |
| 10月20日 | +2,320万ドル |
| 10月21日 | +5億2,480万ドル |
| 10月22日 | −6億3,560万ドル |
| 10月23日 | −1億3,790万ドル(暫定) |
19〜22日の合計は4億3,910万ドルの純流入、23日の掲載済み分まで含めても暫定で3億120万ドルの純流入です。重要なのは、週全体の資金流出ではなく、価格が崩れた後半にETF需要も弱くなったことです。来週は流入への復帰と、その継続性を確認します。出典:Farside Investors・BTC ETFフロー
ForeDex CVD:急落後の買い戻しはあるが、注文帯で温度差

CVDは、買い手が積極的に約定させた取引と、売り手が積極的に約定させた取引の差を積み上げた指標です。上向きならその区間は成行買い側が優勢、下向きなら成行売り側が優勢だったことを示します。資金の純流入額や投資家の保有残高とは異なります。
公式CSVの同一表示範囲を比較すると、Totalの正規化表示値は21日の1.195から22日の−0.672へ低下。その後は23日−0.504、24日途中−0.225へ改善しました。急落時に現物の売りが強まり、その後は買い戻しが入ったものの、価格回復にはまだ結びついていないという読み方です。
| 注文サイズ帯 | 23日 → 24日途中 | 読み方 |
|---|---|---|
| Small(1千〜1万ドル) | −0.160 → +0.092 | 改善 |
| Medium(1万〜10万ドル) | −0.206 → +0.128 | 改善 |
| Large(10万〜100万ドル) | −1.621 → −1.881 | 売り優勢が継続 |
| Whale(100万〜1千万ドル) | +0.404 → +1.812 | 買い戻しが目立つ |
「クジラが全員買っている」とは言えません。これは注文金額による分類で、投資家本人を特定したものではないためです。次に見たいのは、Totalの改善が続き、Largeも下げ止まり、価格が戻り高値を超えられるか。CVDだけの改善では底打ち確認として不十分です。出典:ForeDex・注文サイズ別CVD
取引所残高と含み損:売却余力と市場ストレスを分けて見る

取引所BTC残高は19日09:00の2,832,389.98 BTCから、24日09:00の2,826,722.46 BTCへ5,667.52 BTC減少しました。ただし途中の22日は2,835,723.45 BTCまで増えており、一週間を通じて減り続けたわけではありません。
取引所にあるBTCが減ることは、すぐ売却できる供給の減少として注目できます。ただし、保管先変更やアドレス分類の影響もあるため、そのまま買い集めの証拠とはしません。価格が下がるなかでも残高減少が続くかを追います。
含み損ストレスを示すULSRは、19日09:00の8.65%から21日には7.31%へ改善しましたが、23日09:00には9.22%へ再上昇。19日比で0.57ポイント、21日比で1.91ポイントの悪化です。反発で和らいだ損失負担が、急落で再び膨らんだ形です。
ULSRは実現時価総額に対する含み損の比率で、損失を抱える人の割合ではありません。今回の7日履歴では高い水準ですが、これだけで過去の大底と同じ、あるいは底打ち直前とは判断できません。価格の安値更新が止まり、ULSRの悪化にも歯止めがかかるかが次の確認点です。
取引所ネットフローの増加は、売却済みを意味しない

日次ネットフローは22日の+110.57 BTCから、23日は+15,508.18 BTCへ拡大しました。取引所側へ移動したBTCが増えたことを示すため、売却に使える供給として警戒する変化です。ただし、入金したBTCがすべて売却されたとは限りません。
残高とネットフローは集計時点・対象範囲・アドレス判定が異なり、その差をそのまま一致させることはできません。内部移動の影響も含めて内訳は未確認です。今回の流入拡大を急落の単独原因や、大口個人による売却量とは扱わず、CVD・ETFフローと併せて判断します。出典:CryptoGold BTCダッシュボード/ForeDex
建玉:価格が下がる一方で、未決済ポジションは増加
HyperliquidのBTC建玉(OI、BTC数量ベース)は、19日17:58の40,182.66 BTCから24日17:02の44,113.75 BTCへ約9.78%増加しました。同じ観測間の価格は82,814ドルから80,753ドルへ約2.49%低下しています。
価格下落とOI増加は、新たなポジションが積み上がっている状況です。ただしOIだけではロングとショートのどちらが主導したか分かりません。Hyperliquid単独の値であり、市場全体の建玉でもありません。資金調達率や清算、現物の買いの持続を併せて確認し、反発時のショート清算と下落時のロング清算の双方に注意します。
今週押さえたい暗号資産ニュース
SECが2027年度の検査重点を発表。23日の公式発表では、トークン化を含む市場構造の変化や投資家保護などが確認点になります。これは検査の優先事項で、暗号資産への新規承認や新法の成立とは別です。短期価格より、事業者の対応を追うニュースです。SEC公式発表
Bitcoin Coreの脆弱性開示方針を更新。22日に公式サイトの変更が取り込まれ、再発見されやすい脆弱性への修正・公表の扱いが整理されました。この変更自体は、BTCが新たにハッキングされたという発表ではありません。利用者・運用者は公式の更新情報を確認することが重要です。Bitcoin Core公式リポジトリ
CryptoGoldの見解:月末の指標と中間選挙の通過後、反発を想定
来週は27〜28日(米国時間)のFOMCが焦点です。金融政策の結果だけでなく、インフレ・景気への評価と今後の政策姿勢を確認します。29日08:30米東部時間(日本時間21:30)には、7〜9月期GDP速報と9月個人所得・支出が予定され、PCE物価指標にも注目が集まります。FRB日程/BEA日程
CryptoGoldのメインシナリオは、月末のFOMC・GDPなどの重要発表を通過し、11月3日の米中間選挙後に結果が見えてくることで、不確実性が薄れ、ビットコインがいったん反発に向かうというものです。どの政党が議会の多数を占める場合でも、まずは「結果が分からないため動けない」という様子見が解け、買い戻しや新たな資金投入につながる余地があると考えています。
中間選挙は11月3日(米国時間)に行われる議会選挙で、大統領を選び直す選挙ではありません。日本では主に4日以降に開票状況を確認することになります。議会の多数派が見えてくることを節目として捉え、月末から11月上旬の需給の変化に注目します。選挙日:FEC/中間選挙の仕組み:USAGov
この見方は、あらゆる結果が必ず買い材料になるという意味ではありません。政策・指標の内容や開票の長期化によって反応は変わります。反発シナリオの確認には、CVDの改善、ETFへの資金流入再開、82,088ドル付近の回復・維持を見ていきます。反対に80,500〜80,000ドルを割り、含み損ストレスがさらに増えるなら、反発の時期を見直す必要があります。
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本記事は情報提供を目的とした市場分析です。将来の値動きや利益を保証するものではありません。各指標は市場・観測日時が異なり、速報値は更新される場合があります。サムネイルのチャート部分はイメージです。


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